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種を蒔く仕事

線路に立ち入った女性を助けようとして命を落とした警察官の報に触れ、
ふと、ある恩師の話を思い出しました。

その恩師は、高校時代、教師を志していた友人を亡くしたそうです。
友人はなぜ教師になりたかったのか。教師になって何をしたかったのか。
その答えを知りたくて自分は教師になったのだ、と話してくれました。

その話は、私の心の中にずっと残っていました。

講師という職業は、受講生の心に種を蒔く仕事ではないかと思うことがあります。
「伝える」ためには、少なからず「自分」をさらけ出すことになります。
思いを込めて、願いを込めて、たくさんの種を蒔く。
おそらくほとんどは土の奥底に埋もれてしまうのだろうと思います。
けれど、100粒に1つ、あるいは1000粒に1つ、土の中で静かに育つかもしれない。
そう信じて、教室をたくさんの言葉で満たします。

線路内の女性を助けようとした警察官は、
日ごろから多くの市民によく声をかけていたと言います。
報道などで多くの方が弔問に訪れている光景を目にし、
彼の蒔いた種は人々の心の中でしっかりと育っていたのだと思いました。

彼は、線路に立ち入った女性の命だけを救いたかったのではなく、
彼女の人生そのものを救いたかったのではないかと思います。
この世に、人を救うために自らの命を賭ける人もいる、
その事実に衝撃を受けたのは、私だけではないと思います。

命よりも自己保身を優先させるような企業の不祥事が続く中で、
この警察官の行動は、多くの人の心に、
決して奥底に埋もれることのない種を蒔いたように思いました。
by misystemM | 2007-02-16 19:21 |  ├インストラクター

異なる言語であっても

講習で、通信プロトコルについて説明をしている時でした。

いつものように、「異なる言語では会話が成立しないように、
異なるプロトコルでは通信できません」と話したところで、
ふと、あることを思い出しました。

トーク番組か何かの聞きかじりなのですが、
プロゴルファーのジャック・ニクラウスが、
ある時、青木功に技術的なアドバイスを求めたそうです。英語で。
それに対し、青木功はごく当たり前といったふうに日本語でアドバイスをし、
ジャックは納得して、最後に二人は笑顔で握手をしたそうです。

異なる言語であっても会話は成立する、という例ですね。

そういえば、世界陸上でリポーターをつとめた長島茂雄氏も
堂々とカール・ルイスに日本語でインタビューをし、
一方のカールも、これまた堂々と英語で答えていました。

これも、異なる言語でありながら会話が成立した例、と言えるでしょうか。

思わず受講生の皆さんにもこのお話を披露し、
「言語を超越したものってあるんですね」と笑い合ったのですが。

それにしても、特別な才能を持った人々には、常人には感じ取れない何か、
言葉の周りに滲むもの、声音、表情、そういったすべてのものから
瞬時に意図を察知する能力が、もしかしたら備わっているのかもしれません。
ちょうど、ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)について
自分の中で色々考えている時だったので、殊更に様々に思いを巡らせました。

ところで、長島茂雄氏の逸話をもう一つ思い出しました。
大学時代に英語の「the」を「てへ」と読んだという話です。
この話も私にはかなりツボなのですが、講習内容とは関連性がないので
残念ながらお蔵入りになりました。本当は話したかったのですが(笑)
by misystemM | 2007-02-07 17:44 |  ├インストラクター

不明の至り

先日、担当講座が一つ、終わりました。
最後、いつものようにアンケートを書いていただいたのですが、
それを読んで、愕然とする思いがしました。

講習中、あまり反応がなかったので、これはつまらないと感じているのだな、
と思っていたのですが、実は、そうではなかったようなのです。
面白いと感じ、興味を持ち、私の意図もきちんと汲み取ってくれていたようなのです。

申し訳ないことをしてしまった、と思いました。
実は、あまり興味がなさそうだからと、広く浅い講義にしてしまったのです。
さっと読み飛ばしてしまったものもありました。

アンケートを読みながら、胸の痛む思いがしました。
私は、せっかく芽生えた興味の芽を育てなかったのではないか、と。

そういえば、以前にも同様のことがありました。

ACCESSの講習中、ずっと眉間に皺を寄せ、口をへの字に曲げ、
説明する私をにらむ若い女性がいました。

ACCESSは、難しい、よくわからない、と感じる人も多いので、
操作手順よりもDBの仕組みについての説明にゆっくり時間をかけるのですが、
その日、彼女は最後まで理解を示す動作を見せてはくれませんでした。
「ここまで、よろしいでしょうか? 大丈夫でしょうか?」と尋ね、
他の方が頷いて下さっても、彼女だけは最後まで私をにらんだままでした。

きっと、私の説明がわかりづらいんだ、と思いました。
こんな講習、受けなければ良かったと思っているに違いない。
そう思い、気持ちがどんよりと暗くなりました。
なんとなく、彼女のほうを見る回数が少なくなっていったようにも思います。

しかし、講習後のアンケートはあまりにも意外なものでした。
「とてもわかりやすかった。このソフトを使っていく自信がつきました」
本当に驚きました。

先輩に話したところ、「真剣な時の顔って険しいものよ」と言われました。
確かにそうだと、ようやく気づきました。

・・そう。あの時、気づいたはずなのに。

今回、聴講されたインストさんはこうおっしゃっていました。
「皆さん、楽しいって言ってますよ」
「ちゃんと理解した、と納得しないと頷かないクラスですよ」
そう貴重な情報を与えてくださっていたのに。
楽しい=息抜的な小話がおもしろい+インストさんの気遣い、
頷かない=納得しない=つまらない、だと思ったのです。

本当に申し訳ないことをしてしまいました。

以前、アンケートの取り方 について書きましたが、
受講生の反応を的確に読み取ることも、
インストラクターにとって非常に重要な能力ではないかと思いました。

果たして、次回はどんな反応になるのか。
どのような反応であっても、興味の度合いや方向、理解度を
きちんと読み取れるようにしたい。そう思います。
by misystemM | 2006-12-01 02:39 |  ├インストラクター

「パソコンが俺に歩み寄れ!」

今、あるスクールでコンピュータやネットワークに関する講習を行っています。
先日の「余談」では、7日の新聞に掲載されていたこの記事を取り上げました。

「マイクロソフト、巡回バス - 営業はアナログ路線」

(関連サイト)
全国IT実践キャラバン
"マイクロソフト号"が全国を回る!マイクロソフト、中小事業者向けIT支援新施策を発表

新聞の記事によると、マイクロソフト社CEOのスティーブ・バルマー氏は、
「コンピュータを持っていない人には(巡回バスのような)アナログな方法で
営業をしなければならない」と語った、とあります。

受講生を前にその話をしながら、ふと、ある方のことを思い出しました。

管理職の男性で、非常に有能で同僚や部下からの信望も厚いのですが、
なぜか決して、パソコンに触れようとしない方がいらっしゃいました。
社員一人に一台のパソコンが割り当てられ、連絡業務などはパソコンで、
ということになっても、作業はすべて部下任せ・・・。

ある日、理由を尋ねてみました。すると、その方は、

「今のパソコンは使いにくい。パソコンが俺に歩み寄るまで、俺は使うつもりはない」

堂々としたその回答に、周囲にいた一同は大爆笑となりました。
私も一緒に笑いましたが、なぜか笑いきれないものがありました。

今はあまり見かけなくなりましたが、
当時は、ダブルクリックに苦労されている方も少なくありませんでした。
年配の男性も、若い女性も、初めて触れるソフトに戸惑い、
思いがけない動作や突然のフリーズに慌て、カタカナ用語に混乱し・・・。

道具というのは、本来は便利なものなのに、
なぜか道具に使われ、翻弄され、時には、使えないことに引け目を感じてしまう。
こんなことは、やっぱり、おかしい、と感じていました。

今は、初心者と言っても文字入力やマウス操作は問題なくできる方がほとんどです。
受講される方も、これくらいはできないと、という意識をもっていらっしゃいます。
しかし、これは、パソコンがやさしくなった、使いやすくなったということではなく、
単に、人間がパソコンを使いこなそうと努力した結果であるように思います。

講習中は、パソコンの楽しさや便利さを伝えたい、と強く思う一方で、
本来なら、自然にその楽しさが伝わる道具であるべきだ、という
思いがあるのも事実です。

1月30日には、個人向け次世代OS「ウィンドウズ・ビスタ」が発売されるそうですが、
これは果たして、「俺に歩み寄る」OSになっているのかどうか。
その方も含めて、キャラバンで講習を受けた方がどのように受け止めるのか、
非常に興味深く見守っていきたいと思います。
by misystemM | 2006-11-08 09:39 |  ├インストラクター

「的確」な説明を目指して

以前、某PCスクールで講師としてご一緒させていただいたMARIAさんのブログから。
MARIAさんは現在、神奈川県逗子市にオフィスを構える有限会社アルファスペースの
代表取締役社長として、また湘南パソコンスクールの講師としてご活躍中の方です。

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Daily Light 「楽しいだけじゃ、、、f^.^」

「説明が明白で分かりやすかった」「ポイントを押さえた内容で忘れずにいられそうです」
「質問 に対する回答が明確だった」など、具体的なインストラクションに対してのコメントを
残してくれた方が何人いるのか、、、。
人柄だけではなく、「内容」を評価してくださっているお客様がいらっしゃるのか、、、。

http://hikari-abe.cocolog-nifty.com/dairy_light/2006/09/f_0af4.html
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まさに、私にとっての最重要課題です。思わず何度も読み返してしまいました。

講師を始めて数ヶ月過ぎた頃、アンケートを読んでいてふと気付いたのです。
「丁寧でわかりやすかった」とはよく書かれるけれど、
「的確だった」とか「明解だった」と書かれたことはないな、と。

的確に説明できるようになりたい。
受講された方が会社に戻って画面に向かった時、
講習を思い出して操作できるような、そんな印象的な説明をしたい。
そう思っているのですが・・・なかなか達成することができません。

数年前、このことに真剣に悩み、図書館で関連書籍を片っ端から読んだことがあります。
その中の一冊に参考になるものがありました。
著者は、米国のパソコンインストラクターです。
その方は、このように書いていました。

アンケート内容を「講習内容や講師に対する満足、不満」にすべきではない。
各科目や関連用語をピックアップし、「理解できた、できなかった」にするべきだ、と。
そうすれば、自分の講習に対する正確な評価を見ることができる、と。

なるほど、と思いました。
しかし、そういったアンケートをいざ作ってみると、
質問数が非常に多く、まるで「確認テスト」のようなものになってしまう。
回答する受講生の負担を思うとあまり細かくもできず、
結局は、非常に大まかなアンケートになってしまい、
「正確な理解度」=「説明の的確さ」が把握できないままになっています。

もしかすると、このあたり、つまり、どのようなアンケートを作成するか、
ということもインストラクターの能力の範疇なのかもしれません。

道は果てしなく険しい・・・。私の試行錯誤はまだまだ続くことでしょう。
by misystemM | 2006-09-27 02:17 |  ├インストラクター

受講生の力

先月末、担当させていただいた講習が終了しました。

3時間×8日間で、コンピュータやネットワークの基礎から
情報モラル・情報セキュリティ、電子商取引に加え、
HTMLとCSSもご紹介、URLを取得しアップロードも行いました。

と、こう書くと、かなりぎゅうぎゅう詰めのような印象ですが、
1日3時間ということ、8日間と言っても週2日×4週間ということで、
受講生の方にとってあまり負担にはならなかったようです。
むしろ、良い息抜きになっているような印象でした。
(いえ、息抜きになっているというのは由々しき問題ではあるのですが・・)

私も、とても楽しく講習をさせていただきました。
おそらく他の教科を担当された講師の方々が
受講生一人一人に対して誠実に接してくれていたためだと思います。
初めて教室に入った時から、ウェルカム!という空気でした。

内容は、やはり専門用語がふんだんに出てきますから
簡単というわけにはいかなかったと思いますが、
それでも、受講される方々の「つまらない講習も楽しもう!」という
前向きな姿勢のおかげで、私もノリノリでお話をすることができました。

実は私、受講生の「へぇ」という顔にめっぽう弱いのです。
「講師たるもの、受講生の反応に一々左右されてどうする!」と思うのですが、
「へぇ」を見ると、ついテンションが上がってしまいます。
そして、なんとなく自分が上手に講習しているような気になってしまう。
でも、それは本当はそうではないんですよね。

よくダンスなどで、「ダンスの先生と踊ると、自分も上手になったような気がする」
という話を聞きますが、私の講習もそれと同じような気がします。
この場合、ダンスの先生はもちろん「受講されている方々」です。
私は、上手にリードされ、良い気分になっている側。

次はどんな方々とご一緒できるのかな。上手にリードしてくれるかな。
・・・などと受講生頼みをしている場合ではありませんね。
私もしっかりがんばります!
by misystemM | 2006-09-06 12:34 |  ├インストラクター